| 第五回定期公演 ご鑑賞の手引き | |
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ご来場の皆様へ 洋遊会 ご鑑賞の手引き (第1部)舞楽 春庭花
平安時代の歌集に次のような歌があります。 ももしきの 大宮人はいとまあれや 桜かざして 今日もくらしつ この舞はこの歌を彷彿とさせるような舞で、春の庭に遊ぶ貴族の風流がうかがえます。今回女性が4人で舞いますが、そもそも内教坊という宮中の女性楽団に伝わった舞です。この内教坊の出身者が後に白拍子になっていったそうです。白拍子で名高い静御前はこんな舞もやったことがあるのかもしれないと想像してお楽しみ下さい。冠につけた花を挿頭花といいます。洋遊会がこ もともと遣唐使が伝えた唐の音楽に、平安時代始め日本で舞をこしらえたという記録があります。 第2部 管絃(舞のつかない合奏は、絃楽器が入って管絃と言われます) (1)平調の音取 最初に演奏しますが、これは実は正式な曲ではなく音合わせ、つまりチューニングです。 オーケストラの開演前の音合わせは、オーボエという木管楽器がラの音を長く引っ張って吹き、それに合わせて全員が調律をしています。雅楽ではいろいろな調子(西洋音楽のハ長調、ニ短調のようなもの)ごとに、短いけど魅力的な音合わせ用の曲が作られており、その曲を音取と言います。これはそのうち唐楽の平調(西洋音楽のホ長調に近い)の音取で、1分ぐらいの曲です。 昨年、英国公演の最初の日に越天楽の前に音取を演奏したら、終わった途端場内アナウンスが「ただ今のは越天楽でした。」と言ったので、あわてて立ち上がって大声で音取の説明をしました。考えてみれば、お客様がそのように誤解するのは当たり前なので、それ以後曲目の説明に必ず音取の解説も入れております。 (2)越天楽(平調) 越殿楽とも書きます。雅楽と言えば、この曲しか知らない方がほとんどだと思います。それくらい雅楽の代表曲で、結婚式で聴かれることも多いと思います。 ところが、この曲は源氏物語を始めとする平安朝の文学にはさっぱり出てきません。この曲がこれほど有名になったのは江戸時代以降のことです。明治11年に明治天皇が福岡町へ行幸された時、洋遊会の前身の暢日連がご休息所で越天楽ほかを演奏したことが福岡町史に書いてありますので、その時にはもう相当有名な曲だったようです。この曲を元に民謡の黒田節が出来た事も知られていますが、私は黒田節のお陰で返って越天楽も有名になったのではないかと思っています。 この曲の起源は西域(シルクロードに沿った地方)とのことです。 朗詠とは、平安時代の詩吟です。平安朝の貴族は祝宴や風流の遊びの際に、さかんに漢詩や和歌を朗詠しました。平安中期に藤原公任が、人気のある詩歌を項目別に抜粋した朗詠の本を編纂しました。これが「和漢朗詠集」です。現代で言えばカラオケ用の歌詞ブックのようなものでしょう。「嘉辰」はこの本の「祝」の部にあり、朗詠の中でも一番の人気曲でした。紫式部日記には、その藤原公任が摂政藤原道長らとともに酔って「嘉辰」を何度も朗詠する場面が出てきます。 歌詞は 「嘉辰令月歓無極 万歳千秋楽未央」 というものです。意訳すれば、「星がきれいで月が美しく、私の喜びは限りがない。千年歌っても万年歌っても、楽しみは半分も終わっていない」ということになります。普通漢詩は「国破れて山河在り」のように読み下しにされますが、この曲に限っては全く音読みで歌われます。漢詩の読み方は、この方が古い形なのかもしれません。 (4)抜頭 この曲は林邑楽と言って奈良時代に北ベトナムから伝わった曲だとされています。当時ベトナムは高い文明を持つ大仏教国でした。髪の毛を振り乱した大きな面をつけて舞う大変面白い舞がついているのですが、本日は曲だけを管絃で演奏します。なお、雅楽では舞をやらない時にだけ、絃楽器が使われます。只拍子という調子の良いリズムです。 抜頭というのは意味がよく分かっていませんが、インドの「リグーヴェーダ」という古代神話文学に登場するパドゥという神様のことではないかという説がありまして、私はこの説に大変魅力を感じています。 第3部 舞楽 蘭陵王(第1部、第2部) 舞楽の中に、走舞という比較的動きの大きい舞があります。この舞はその代表的な舞です。 6世紀頃、中国の華北の北斉という国の将軍蘭陵王長恭はあまりに美男子だったので、戦場では威厳を保つために恐ろしい面をつけていたそうです。この舞はその蘭陵王が奮戦している場面ということです。一方ではこの舞はベトナムから伝わったと書いた本もあり、陪臚と同じく南アジア系の調子である沙陀調という調子でできているなど、伝説とは少々矛盾する点もあります。しかし、蘭陵王長恭は中国の史書に出てくる実在の人物で、その人が北斉の軍を大勝利に導いたことも史実です。 過去にもたびたび上演いたしましたが、今回は童舞という面をつけない形式で、福岡高校の山田啓太君が舞います。 |
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